南三陸町防災対策庁舎

はじめて訪れた防災対策庁舎には、厳粛な気が満ちていた。屋上に高く天頂を指す避雷針と左右を指向する八木アンテナは、祈りの手を伸べているようだ。

今後かさ上げ工事が進むと、防災対策庁舎は下に降りて見る遺構となる。 

南三陸町の防災対策庁舎は、震災遺構として有名である。
女性職員が津波の警報を放送中に被災して亡くなり、また、町長は津波に呑まれた屋上で非常階段の手すりにつかまって辛くも生き残った。

かさ上げ工事が始まってから、被災地は訪れるたびに様相が変わり、部外者は地理の把握が困難となり、毎年見てきた場所を見失う一方、それまで気の付かなかった遺構に行き当たることもある。
ここは何度も通っているが、防災対策庁舎を訪れるのははじめてである。

遺構の背後の土盛と写真左手の土盛は、工事の進行と共にいずれつながって周りを囲み、この場所は地面から掘り下げられたような凹地になる。

南三陸町志津川塩入 2016年3月27日

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防災庁舎1
正面の献花台には香華が絶えない。
防災庁舎2
見学の人が次々と現れ、感慨を胸に去っていく。
防災庁舎3
庁舎正面に建てられた卒塔婆。
かさ上げ工事中の被災地は、わずかな案内表示では追いつかない。